リレーコラム

2026.06.09

税制改正で期待される 大幅な節税とキャッシュフロー改善

今月のリレーコラムは、中小企業診断士・税理士の岡崎伸介が担当いたします。

 はじめに
物価高や最低賃金の上昇に伴い、「値上げ」や「適切な価格転嫁」が経営の最重要課題となる時代へと突入しています。同時に、人手不足を補うためのバックオフィス業務の改善や、急速に進化するAIの活用など、我々にはこれまで以上に「新たな環境に適応するための投資」が求められています。
しかし、いざハイスペックなパソコンや最新システムを導入しようとすると、円安・物価高騰の影響で想定以上のコストに驚かれる方も多いでしょう。今回は、そうした「新たな挑戦」を後押しする税制改正についてお伝えします。
20年以上ぶりのルール変更:即時償却が「40万円未満」へ
これまで、中小企業がパソコンや備品を購入した際、一括で経費(損金)に落とせる上限は「30万円未満」(少額減価償却資産の特例)と長年定められてきました。
しかし、2026年4月1日以降に取得する資産から、この上限が【40万円未満】へと大きく引き上げられました。業務効率化に必要な機材は今や30万円を超えるケースが増えており、投資のハードルが下がったことは中小企業にとって大きな前進です。なお、今回の改正では対象事業者の従業員数要件が「500人以下」から「400人以下」に縮小されました。
制度活用の落とし穴と注意点
この制度を活用する際は、以下の点にご注意ください。
① 年間上限「300万円」は据え置き
1個あたりの上限は40万円未満に上がりましたが、1年間で即時経費にできる合計額「300万円まで」という枠は変わっていません。単価が上がった分、無計画に購入しているとあっという間に上限に達してしまいます。
② 「セット」で判定される
パソコン本体が35万円でも、一緒に使う専用モニターが8万円であれば、合わせて「1つのセット(43万円)」と判定され、特例が使えなくなるケースがあります。
③ 「使い始めた日」が基準
決算月に駆け込みで購入しても、納品されて実際に「業務で使い始めた」のが翌期であれば、今期の経費にはできません。
最後に
IT化や機材導入は魔法の杖ではありません。重要なのは「なぜ必要か(WHY)」という目的の明確化です。
「枠が広がったから節税のために何か買う」のではなく、「自社の収益力を高めるために、今どんな設備投資が必要か」を考えることが本質です。また、状況によっては一括償却(20万円未満)で償却資産税を抑える方が有利なケースもあります。
自社にとって最適な設備投資の進め方について、迷われた際はぜひお気軽にご相談ください。

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