リレーコラム

2026.09.08

人手不足はAIで解消できるのか? ―DXからAXへ、今度こそ導入を目的にしないために―

 物価高騰に加え、人手不足が中小企業の経営を大きく圧迫しています。
帝国データバンクの調査では、2026年7月時点で正社員の不足を感じている企業は51.3%と、7月としては4年連続で半数を超えています。

採用活動を続けても必要な人材を確保できず、受注機会の喪失や既存従業員への負担増加につながっている企業も少なくありません。

こうした中、人手不足を補う手段として期待されているのがAIです。
近年では、DX(デジタルトランスフォーメーション)に続き、AIを中核として業務や組織、ビジネスのあり方を変革する「AX(AIトランスフォーメーション)」という言葉も聞かれるようになりました。

今回は、人手不足をAIで本当に解消できるのかについて考えます。

DXで省力化は実現したのか
本来、DXとはデジタル技術を活用し、業務プロセスやビジネスモデルを変革する取組です。

しかし、実際の支援現場では、「新しいシステムを導入した」「紙をタブレットに置き換えた」といった、機器やソフトウエアの導入そのものが目的となっているケースも見受けられました。

従来の業務手順を変えないままシステムを導入しても、省力化にはつながりません。
紙への記入がデータ入力に変わっただけであったり、既存の管理表と新システムへの二重入力が発生したりすれば、かえって現場の負担が増えることもあります。

「何を導入するか」が先行し、「どの仕事を減らすのか」という目的が置き去りになっていた企業もあったのではないでしょうか。

AX活用に関する私見
生成AIは、文章作成、議事録の要約、問い合わせ対応、見積書や報告書の作成補助、情報検索など、多くの間接業務を短時間で処理できます。
一方、建設、運送、介護、飲食、製造など、人の身体や熟練技能を必要とする仕事をAIだけで代替することは困難です。
また、AIの回答確認、社内データの整備、情報漏えい対策など、新たな業務が発生する場合もあります。

したがって、AIを導入するだけで人手不足が自動的に解消するわけではありません。

重要なのは、AI導入の前に業務を見直すことです。
まず不要な仕事をやめ、次に業務を標準化し、システムで自動化する部分とAIに任せる部分を整理する。

その上で、人にしかできない判断、顧客対応、技術の伝承、新たな価値の創出に人材を集中させることが必要です。

AXでDXと同じ轍を踏んではなりません。「どのAIを導入するか」ではなく、「どの仕事をなくしたいのか」「どの仕事から従業員を解放したいのか」から考えるべきです。

AIは人手不足を解消する魔法の道具ではありませんが、今いる人材で会社を回し、より付加価値の高い仕事に集中するための強力な省力化手段になります。

AXの成否を分けるのは、AIの性能よりも、仕事のあり方そのものを見直せるかどうかではないでしょうか。
自社の業務の棚卸しや省力化、今後の経営のあり方などをご検討の際は、ぜひご相談ください。

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