2024.11.12
ここ最近、介護職員処遇改善加算取得にむけて相談を受ける機会がありました。介護職員処遇改善加算が創設された背景には、介護職員の深刻な人材不足があります。他の業種と比較して介護職の収入が低いこと、高い離職率が人材不足の原因となっているため、厚生労働省が介護職員の賃金や職場環境を改善するために設けた仕組みです。
平成20年に介護職員処遇改善交付金として開始され、平成24年度からは介護職員処遇改善加算として、介護報酬を加算する形に移行されました。その後、いくつかの改定を経て複雑化していましたが、令和6年度4月改定で介護職員処遇改善加算の一本化(加算ⅠからⅣ)や加算率の引き上げが行われました。
加算取得の要件は、加算ⅠからⅣで異なりますが、大きく分けると①キャリアパス要件、②月額賃金改善要件、③職場環境要件を満たす必要があります。
今回の相談では、これまで加算を取得していなかった事業者からの相談が主でしたが、理由を聞いてみると制度内容・手続きがわかりにくい、規模的にキャリアパスを構築する必要性を感じなかったというものでした。
制度内容・手続きについてはわかりやすくなったと思いますし、今年度は移行措置期間でもあるので要件も緩和されている印象です。
キャリアパスについては、規模を問わず必要なものだと考えます。キャリアパスとは、組織内においてキャリアを積み重ねていくために必要な過程や道筋を示すものです。例えば、目指す職務、職位などの目標に対して、必要なスキル、年数や経験を明らかにして社員に提示することです。
「キャリアパス」が明らかになることで、社員が主体的に目標に向かって取り組むことを促す効果が期待できることから、双方にとってメリットがあるといえます。
介護従事者の賃金や職場環境を改善してモチベーションを高めることは重要なことですが、キャリアパスをうまく機能させるにはモチベーションについて理解することが必要です。
モチベーションには、外発的動機づけと内発的動機づけの2種類があります。外発的動機づけは、報酬など外部からもたらされるもので、処遇改善加算による改善は外発的動機づけになります。一方、内発的動機づけは仕事に対する興味などからもたらされるものです。経営理念や行動指針からキーワードを抽出し、社員に何を期待するか、どのように成長して欲しいのかを明らかにして、キャリアパスに反映させる。外発的動機づけだけでなく、内発的動機づけとのバランスを意識しながら構築してはどうでしょうか。
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