2023.10.10
今月のリレーコラムは、チーフコンサルタント 額田信一が担当いたします。
今回のテーマは「BtoB企業のブランド戦略」です。
「ブランド戦略」は、消費者向けの商品・サービスを販売しているBtoC企業には無くてはならないものでしょう。一方、企業向けの製品・サービスを提供しているBtoB企業ではそれほど切実な必要性を感じておられないかもしれません。
しかし、BtoB企業の中にも「ブランド戦略」を策定し、営業開拓、新卒採用、社員の意識改革などに活かしている企業があります。
そもそも「ブランド」とは、放牧される牛に付けた「焼き印」という意味で、自社と競合他社の違いをあきらかにする「差別化の象徴」と言えるものです。したがって、「他社との差別化」という意味において、BtoB企業においても「ブランド戦略」の持つ役割は大きいものがあります。
製造業、特に部品加工の会社などは、ほとんどの会社が「自社の強みは高品質、短納期、低コストです」などと標榜します。実際の水準はともかく、ほとんどの会社がそれを標榜するということは、そのことが差別化の訴求ポイントにできていない、ということです。
今の時代、「高品質・短納期・低コスト」は当たり前で、営業開拓や受注単価アップのためには、それプラス自社ならではの「差別化」が必要です。それには、ブランド戦略の策定とその推進が効果を発揮します。
また、社員の募集採用にもブランド戦略の存在が役立ちます。
実は、「ブランド戦略」は対外的な効果が期待できるだけでなく、社内の意識改革にも有効です。
多くの経営者が、「社員の意識改革をしたい」という問題意識を持っておられます。「ブランド戦略」を発表して、自社の差別化のキモを明確にすると、社内に「ブランドにふさわしい行動をしよう」という雰囲気を醸成することができます。これが、社員の意識改革の原動力になります。仮に、それにふさわしくない行動をする社員が居たら、社外の関係者からの厳しい指摘を受けますので、上司に言われるよりも効果があります。
「ブランド戦略」の策定にあたっては、いきなり何か目を引くキャッチフレーズやマークを作ろうとしても無理があります。まず自社内にプロジェクトチームを作って、自社の歴史、経営理念、経営戦略や方針、社員が思う「良い会社」とは何かを検討し、社外の関係者からどのように見られているかを調査し、ブランドコンセプトを決め、見せ方・伝え方を考え、ブランドにふさわしい行動とは何かを話し合って、その結果を社内外に発表し浸透活動をします。
プロジェクトチームの活動期間としては、明文化した経営戦略・方針の有無や組織風土の状況で変わりますが、おおむね2年から3年を考えておくと良いでしょう。
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