2024.04.09
今月のリレーコラムは、中小企業診断士・税理士の岡崎伸介が担当いたします。
令和5年10月から導入されたインボイス制度と、令和6年1月からの電子帳簿保存法への対応は、近年最も注目度の高い税務関係の制度改革と言えるでしょう。この2つの制度で共通に語られているまだ普及していない「デジタルインボイス」について今回はお話します。
デジタル庁によれば「請求情報(請求に係る情報)を、売り手のシステムから買い手のシステムに対し、人を介することなく直接データ連携し自動処理される仕組み。
その際、売り手・買い手のシステムの差異は問わない。」とされています。
データのやり取りの仕組としてはメールのような仕組みで、スマホからPC、PCからスマホなど、メールの送受信にシステムの差異が無く文書のやり取りをするのとほぼ同様の仕組です。デジタルインボイスはメールアドレスの替わりにPeppol(ポペル) IDを使い、相手先に取引データを送信します。端的に言えば、デジタルインボイスとは請求書データを売り手のシステムから買い手のシステムへ直接データ連携し、自動処理する仕組みです。
現在の請求・決済業務のやり取りは「紙(アナログ)」を前提とした業務が大半となっています。請求書データをデジタルで作成し、紙に印刷またはPDF化して交付、交付されたものを手入力、もしくはAI技術により自動取り込みをしている場合が大半のように思われます。
デジタルインボイスの世界では、デジタルインボイス形式で売り手の販売管理システム等で請求書データを作成し、これを買い手の仕入管理システム等に連携することになります。そうすると紙への印刷、PDF変換、AI自動取り込みなど、これまでの中間作業が無くなります。デジタルインボイスを会計システムに取り込むことで個別の仕訳入力も不要になります。また、全銀ネットがデジタルインボイス標準仕様をもとに制定した「DI-ZEDI」によりデジタルインボイスの情報を付して振り込むことにより、請求書番号レベルでの入金確認が出来ます。
請求から決済までをデジタル化し、一気通貫でデータ連携することで業務効率化が可能となります。税務面については仕入税額控除、電子帳簿保存法への対応について負担削減につながります。
製品の導入に係るIT導入補助金等の支援も展開されています。今後は、導入支援や規格統一に向けた取り組みも更に加速していくことが期待されます。
既に多くの販売管理・仕入管理・会計システムはデジタルインボイスに対応してきています。QR決済は対応店が増えることで一気に普及した様に、デジタルインボイスが普及する日もそれほど遠くないのではないかと思います。
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