2024.01.09
新年を迎えた今月のリレーコラムを担当する、中小企業診断士の大賀です。
本格的にコロナ5類化後の動きが期待される今年こそ、経営環境に明るさを実感する事業者様が増えていくことを願うばかりです。とはいえ、引き続き物価高や人手不足に悩む事業者様がいらっしゃるのが実態でしょうか。
特に「後継者不足」は「中小企業白書2023年版」でも多くのページが割かれており、このところ“鉄板の話題”となった感があります。
事業承継の類型には「親族内承継」「従業員承継」「M&Aなど社外への引き継ぎ」があります。このうち経営者の意向が最も強いのが「親族内承継」ですが、身内だからこそなのか、必ずしも承継後の経営安定や業績拡大につながらないケースもあるようです。
一方で私が拝見した本類型で成功した/しつつある2事例で面白い共通点があります。実は白書で取り上げられたテーマでもあり、印象に残ったのでご紹介したいと思います。
それは「後継者の次世代の組織づくり」です。
白書は事業承継を契機に「従業員の自主性が高まった」と回答した企業が6割を超え、そうした企業の方が「売上高平均成長率」の底上げにつながった可能性を示唆しています。2事例では具体的な施策は異なるものの、後継者が主導して組織を再構築し、「自立型社員の育成・活用」へとつなげたプロセスがよく似ています。
A社は従業員の不満足要因をヒアリングした後に全員参加で経営方針づくりを行いました。どんな会社にしたいのか目標を具体化し、そのために何をいつまでに実現するかを話し合いました。その後テーマごとにチームを作って活動を開始しました。
B社は生産工程と従業員の動きをデータに落とし込み、生産現場を見える化しました。テーマを生産性向上に絞り込み、各従業員に何が出来るかを議論しました。案件の主担当者が活動結果を報告・共有するようにしました。
これらは白書に示された「従業員の自主性を促す取組」と非常に良く整合します。
大事なのは、このようなプロセスを後継者が「主導して」「意思をもって」実行することです。後継者自身が小さな成功体験を積み重ねてリーダーとしての自信をつけると共に、従業員がフォロワーとなっていきます。その結果、全社ビジョンにベクトルが合った目的適合型の組織が作られます。事業の成功確率はきっと高まります。
後継者候補が比較的若い、あるいは経営経験が少ない場合、「親族内承継」を控える経営陣は上記のような仕掛けをどのように実行するかお悩みかと思います。私達コンサルタントは、様々な現場分析のツールを活用した上で提言を行い、後継者の「いっちょやったるか」の気持ちに寄り添う伴走型のご支援が仕事です。気軽にご相談いただけると幸いです。
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