リレーコラム

2022.10.11

完全競争

こんにちは。経営コンサルタントからファーマーに変身中の谷です

実りの秋となりました。農園ではお米をはじめ、豆、芋、栗、柿など収穫の季節となりました。今年のみなさんの会社の成果はいかがでしょうか?

農業では豊作、不作の時もあり、天候に大きく左右されます。企業の場合も儲かる時もあれば損が出る時もあります。経済自体が大きな循環を繰り返し、その中での企業活動であり、外部環境に大きく影響されます。特に近年はコロナウイルスが悪さをしましたし、現在はロシアの侵略戦争による原材料高が影響しています。このような中でも企業としては競争優位を発揮して収益力が高い状態を目指したいところです。

昔学習した(気がする)経済学の最初に「完全競争」の概念がありました。

その条件として、

  1. 市場に無数の小さな企業がいて、どの企業も市場価格に影響を与えられない。
  2. その市場に他企業が新しく参入する際の障壁がなく、撤退する障壁もない。
  3. 企業の提供する製品・サービスが、同業他社と差別化されておらず同質である。(他に経営資源の移動性や完全情報があります)

「完全競争」は極端でありえない状況ですが、この中で需要・供給がバランスするのは、すべての企業がぎりぎりでやっていけるだけの利益しか上げられない水準です。

反対にこれらの条件を真逆にした世界が「完全独占」の状態です。業界に1社だけが存在して価格をコントロールし、他の企業が参入できない状態で、1社なので差別化も必要ありません。市場が「完全競争」から「完全独占」に向かうほど、供給量・需要が減り、市場価格は上昇し、独占企業は利益を拡大させることができるというものです。

これはあくまで概念ですので、自分の企業が属する業界が完全競争寄りか、独占競争寄りか、どちらに近いか、が収益力のポイントとなります。完全競争から離れている業界ほど、すなわち、独占に近い業界ほど、安定的に収益力が高まります。ということは、私たちにとって重要なのは、自社の競争環境をなるべく完全競争から引き離し、独占競争へ近づく手立てを打つことです。

経営学で著名なポーター先生はこの理論を基に、業界分析の5フォースや競争戦略のフレームワークをつくりました。特に業界全体を対象とした競争戦略では「コスト・リーダーシップ戦略」と「差別化戦略」に分類しました。中小企業においては、規模の経済を追求するコスト戦略は無理であり、差別化を追求し、他社が真似しにくい競争優位の状況をつくることが必要です。これには、経営資源である人・もの・金・ノウハウ等を自社と競争相手を比較分析し、競争のポイントをどこに置くかを決定することが重要となります。

秋の夜長に、「彼を知り己を知る」時を過ごすのも良いと思います。

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