今月のリレーコラムは、中小企業診断士の河本吉弘が担当します。
仕事をする、経営をするということは「問題解決に取り組む」ということに他ありません。
今回は「問題のタイプとその解決への基本的な取り組み方」についてお話します。
1)一つ目は「今起きている問題」への取り組みです。
- 主要因の抽出と対策
結果が悪いとすれば必ずその原因があります。
その主たる原因(主要因) をつきとめ、それに対策することが必要になります。
主要因に対策すれば結果を変えることがでます。要因は見えやすいものばかりではありません。
ある「工程でトラブルが頻発」していました。
原因を探っていくと「現場のコミュニケーション」など表面的には見えづらい要因が根底にありました。 - プロセスの改善
結果が悪いとすれば、それに至るプロセスがまずかったということです。
結果を良くするためには、弱かったプロセスを突き止め、その改善、強化に取り組むことが必要です。
「顧客との交渉がなかなかまとまらない」プロセスを振り返ってみると、交渉前の「準備のプロセス」がはなはだ不十分だったことがありました。
2)二つ目は「近い将来起こりうる問題」への取り組みです。
- 答えは「顧客の声」にある
顧客の要求は変わります。
常に顧客の声に耳を傾け顧客が何を望んでいるかを把握し、顧客要求に応え続けることが必要です。
とりわけ顧客の「潜在ニーズ」を把握できるかどうかが重要です。
ある大型商談で失注必至の状況から大逆転した例があります。
成功要因は、顧客も意識していなかった次々プロジェクトのニーズにも訴求した提案でした。 - リスクをマネージする
今が良くても将来が安泰とは限りません。
成り行きだとどうなるのか、内外の環境変化を注視してみるとさまざまな事業上のリスクが見えてきます。
「リスクは起きてから事後的に対処するのではなく、起きる前に事前に対策をする。」のが鉄則です。
ある競合に先行されていた商談がありました。
受注への突破口を開いたのは、前の商談で失注した要因への事前対策でした。
3)三つめは「創り出す問題」への取り組みです。
問題とは現状とありたい姿(目標)のギャップです。創り出す問題とは、目標をあえて高く置くことによって意識的に創り出す問題です。「問題とは何か。真に我々が取り組むべき問題とは、現状にとらわれずに『あるべき姿』をありありと頭に描いた時、『いまの姿』の中に見出す不足部分をさすのである。問題を見つけ問題を創り出せ。問題を掘り起こし体当たりせよ。」(土光敏夫「経営の行動指針」より)
成長する企業は、高い志のもとこのような問題を次々と創り出し、その解決にチャレンジし、PDCAを回し続けている企業といえます。